激走800km!2006年、ドイツ・ワールドカップ・サッカー観戦記!エピソード2
前回までの『激走800km!2006年、ドイツ・ワールドカップ・サッカー観戦記!』
(エピソード1は、こちら→http://sekkeisitu.exblog.jp/9510925/)
-エピソード2-
現地時間2006年、6月20日、火曜日 午後11:45頃
闇の中を物凄いスピードでライトが流れていく!
我々は言葉を失った!
そこは、紛れも無く『制限速度の無いアウトバーン』だった。
ワタシ:「うわっ!早ええ!あんなスピードで走ってるの?」
心の準備もないまま合流。........3人とも、完全にノマれてしまった。
三車線のうち我々は一番遅い右側、しかし、皆早い!!
一番左は少なく見積もっても200km?250km?は出ている!
真ん中も150km以下はいない?
我々が走る右側は、極端に遅い貨物のトラックのみ。
少しでも抜こうと試みて、左に出れば、たちまち猛スピードの車が、後ろにピタっと張り付く!
元のレーンに戻ろうとするが、ウィンカー出すにも、ワイパーが動いたり....大変だ!
完璧にのまれてる我々は、とにかく、何処を走ってるのか?どこへ向かっているのか分からない!
スピード出せないわけではないが、反対方向に向かっていたら最悪だ!ホテルまでだって東京から名古屋くらいはあるんだから。
(目的地が分からない高速の運転って大変なんです)
ワタシ:「ねえ、地図わかる?これどこ走ってるの?」
ヨシ兄:「これで、いいずら」
ワタシ:「ええ?ホント?何か分岐があるけど真っ直ぐでいいの?」
ヨシ兄:「おまん、こんな地図で、いまどこかも分からなんに支持できるわけねーら!」
ワタシ:「どうしよう、どこに向かってるんだ?」
↓ これが、レンタカー屋でもらった1/200,000の地図(分かる訳ない)
そういってる間にも矢のようなスピードで車が追い抜いていく!!我々三人とも生命の危険を感じる速さだ!
緊張感が走る!全員の緊迫感がビシバシ伝わってくる!
突然、パシッパシ!
ヨシ兄:「おいっ!!パッシングされてるぞ!」
ワタシ:「ええ!?なんだよう?何が駄目なんだ?」
ヨシ兄:「おいっ!何か叫んでるぞ!」
ワタシ:「なんだっつーだよね!?....あっつ!?」
ヨシ兄:「なんだあ?」
ワタシ:「やべえ、ライトが遠目になってた」
ヨシ兄:「馬鹿だな、...あいつ、すげえ怒ってたぞ」
ワタシ:「ええ?でも、抜いたってこと?わからんなあ?」
車内の空気が張り詰める、出発時から、ご陽気にFMラジオをかけてたが...、
ヨシ兄:「おい、ラジオなんか、うるせーだけだから消せ!」
皆が、そう思ってた。
ワタシ:「そう、そうだね、うるさいね」
まったく余裕なし!
ヨシ兄:「とにかく一回、高速を降りろ!危なくて駄目だ!」
ワタシ:「降りるって、どこで降りんのよ!」
ヨシ兄:「おお、なんか見えてきたぞ!おい、おりろ!降りろ!」
ワタシ:「やっと、このスピード地獄から逃げれるね」
分岐にさしかかり高速を降りる我々.........
しかし、アウトバーンの方がよっぽど安全だった。
ヨシ兄:「おいっ!!、対向車がきてるじゃんか!?右だぞ!いいのか走って、ここを!?」
ワタシ:「ええ!?いいんじゃねえの?なんも無かったらに!....二車線じゃねえの?」
ヨシ兄:「ゆっくりいけ!ゆっくりいけ!」
一般道に入った。
ワタシ:「とにかく、慣れるまで前の車の後について、ちょっと運転するけど、いい?」
しばらく前の車についていく。
信号だ!
右に行こうとしている前の車。
向こう側は、ドイツの大都会のようだ、車の数も半端なく多い!
とても、このつたない運転で走れる自信はない。
ワタシ:「これは絶対に、左に行こう、いいね!....しっかし、暗いねえドイツは。」
「....」皆、無言だ。
左折するが、右側に入らずに、癖で左に入ってしまった!
ワタシ:「やべえ!左だこれ!」
ヨシ兄:「馬鹿ー!なにやってるだ!バック、バック!」
ワタシ:「ちっきしょう!っだあ、ギア入んねえし...」
(ギアチェンジの度に、左手が動いてしまい、どうしても遅れるんです)
なんとか右に入り、細い路地の脇に、車を停めた。
とにかく、周りが暗い。ドイツは省エネの国だからか。本当に暗い。
運転も怖い。標識が見えないから、一方通行なのかどうかも良く分からない。広い通りは5車線くらいあって、真夜中なのに車は多いし、とても合流できない。
狭い道で、運転の練習をするが、すぐに広い道路に出てしまうので、何回も同じ道をぐるぐる回るのみ。
『これは、やばいんじゃない?この企画?』と思ったが...、 言いだしっぺのワタシが、そんなこと口走れない。
休憩をかねて、また脇に車を停める。
まったく先に進めない状況だ。
ワタシ:「とにかくさあ、高速のが、まだ前に走るだけだから安全じゃん?アウトバーンに戻ろう。そいで、とにかく位置を確認して、サービスエリアで、もっと分かりやすい地図買おうよ」
ヨシ兄:「そうだな、ドイツ語なんか分からんから、標識が意味無さんから、おまんが助手席でナビやれ!....おい、オギ!おまん、運転しろ!」
オギさん:「いや、絶対無理!あんなスピード見ちゃ、絶対無理っすよ!」
(あのスピード見ちゃ、ビビるよね~)
....
ワタシ:「じゃあ、オギさん、ナビやる?」
オギさん:「いやあ、それもちょっと...字が分からんもん」
(この地図じゃあね~)
ヨシ兄:「しょうがねえな、俺が運転するわ。」
ワタシ:「じゃあ、俺がナビと、とにかく、事あるごとに、右っていうから、...オギさんは、高速乗ったら、バッカみたいに早いのが、一瞬にして後ろからやってくるから、とにかく、後ろに注意ってことで行こう!」
ヨシ兄:「よし、じゃあ行くか!」
エンジンをかける!
ウィンカーをだそうとするが、お約束のワイパーが動く!
ようやく発進するも、ギアチェンジのたびに左手が動いてしまいエンストも...
ヨシ兄が完全に切れた!!
ヨシ兄:「駄目だ!!こんなもん運転してたら死ぬぞ!!空港へ返して来い!!....命がいくつあっても足りんぞ!」
ヨシ兄:「電車じゃねえと、辿り着けんぞ!こんなのに乗ってたら!!」
.....
『もはや、これまでか...』やはり失敗だったか、.......この企画。
不審にストップ、発進、...を繰り返す我々の車。
一台のタクシーが付いてきて、追い越させたが、我々の車の前に停めて降りてきた。
ヨシ兄:「やべえぞ、怒られるぞ、『変な運転しやがって!』って」
助手席の窓を開けてワタシが迎える。
タクシードライバー:「トラブルなのか?」
ワタシ:「ああ、はい、実は空港に向かいたいのですが、道がわかりません」
タクシードライバー:「空港?フランクフルトか?こんなに近いのに?(笑) それにはUターンして右に行って、左へ行くと真っ直ぐ行けばアウトバーンにでるから、そうすれば飛行機のマークが出るからそれを目指していきな」
ワタシ:「ありがとう。助かりました」
というような内容の英語をかわしました。
ワタシ:「ドイツ人の英語って分かりやすいね、なんとなく」
ヨシ兄:「よかったなあ、怒られなくて...。絶対に怒鳴られると思ったよ」
ワタシ:「たぶんさあ、世界中から来るって分かってるから、みんな承知してんじゃん?俺、日本帰ったら、外人に会ったら本当に優しくしてやろうって思ったよ、今」
一同:「そうだな」
さて、この時点で、完全に車は諦め、電車移動に気持ちは決定した!
ヨシ兄:「さあさあ、車返しに行こう!」
なんとか、アウトバーンに出る!
しかし、.....どうしても空港がどこにあるか、全くわからない!
もう時間は、現地時間でさえ、夜中の1時すぎだ!!
相変わらずのハイスピードの車が走る中、体力は限界だった!
ワタシ:「もう駄目だよ、移動するより寝よう」
ヨシ兄:「ああ、そうだな」
小さなサービスエリアにより駐車場で寝ることにした。
ヨシ兄:「車も返せねえのかあ」
そう呟きながら、外で一服。
タバコ、...吸うこと忘れてた。
ワタシ:「タバコを吸う余裕もなかったねえ(笑)」
オギさん:「ほうだよ、俺なん、なんもできんし、でもタバコも吸う気にもならんし、喉は渇くし」
ワタシ:「本当だ。喉カラカラだ。俺なんか買ってくるけど、オギさん何がいい?」
オギさん:「アイスコーヒーで」
ワタシ:「オギさん、アイスコーヒーないよ。」
オギさん:「ああ、じゃあ、自分で」
しばらくして、「うわあ、」とオギさん、
オギさん:「またやった。これ炭酸水だ」
気の毒に。やられっぱなしだオギさん。
車に戻るとヨシ兄は持参の寝袋でトランクに寝ていた。
体は伸ばせず、『くの字』になってる。
当初、レンタカーはミニバンを予約したかったが、いっぱいで駄目。ステーションワゴンになるはずだったが....
ワタシ:「これ、シートがフルフラットにならないね」
オギさん:「これは駄目だね」
あきらめて中途半端な体勢で前列の席で寝た。
斜めなので、どうしても体がずり下がってくる 。我々も上向きに「くの字」だ。
地味に体がずれてく中で眠るのは、非常に大変なんです。
ワタシ:「やられてるね~、ドイツには」
オギさんと笑いながら寝た。
何も解決してないが、とにかく心の安らぎを感じ寝た。
現地時間2006年、6月21日、水曜日 午前2:00頃.......つづく
by sekkeisitu | 2009-12-28 16:55 | 旅